2021年から2025年現在、金やシルバー、メッキの価格が急激に上昇しています。
安価であったはずのメッキコーティングも、今までのメッキ加工では同じ価格を維持することができなくなり、多くのメーカーで価格の値上げをせざるを得なくなりました。
特にシルバー製品はもともとの値段がリーズナブルなので、メッキ代がかさむと見た目2倍近く値段が跳ね上がることもあります。
今まで手ごろな安さで人気だった真鍮製品もこのあおりを受けています。
真鍮なのに高い。そんな声が聞こえてきそうですね。
真鍮製品自体は本来値段が安いものが多いですから、メッキ加工で3倍~4倍もの値段になるなんてこともありそうですね。
そこで近年、銀色系のメッキとして広く活用されているのが「代用ロジウムメッキ」です。
目次
代用ロジウムメッキとは

純ロジウムメッキとほとんど変わらない銀色(シルバー)の艶を表現するメッキです。
メッキ加工業者によって素材成分の配分は少々変わるかと思いますが、主に代用ロジウムは銅・錫 (スズ)・亜鉛の合金でつくられています。
ロジウムメッキ価格の高騰の理由
自動車産業などでロジウム需要の高まったため。
世界情勢の変化。
もともと産出量が少ないため。
みなさんもご存じのように、2020年初頭から世界は不安要素が強くなる情勢が続いています。
ここで一番に値上がりしたのが「金」です。
そのあおりを受ければ金より安価な貴金属に需要が集まります。
もともと産出量が多大だったというわけではない素材に、さらに需要が高まり、高騰したという流れがひとつ考えられます。
実は2020年以前からロジウムの価格は上がり続けていて、産業分野での需要が伸びたことが要因の一つとされていました。
2017年のロジウムの相場は平均4,000円前後ほどでしたが、
2018年には平均9,000円前後となり、倍以上の相場価格になっていました。
2025年には平均26,000円にもなっています。恐ろしい。
相場はこちら→田中貴金属さん(外部リンク)
そこで登場したのが、代用ロジウムメッキです。
代用ロジウムメッキのメリット
純正ロジウムメッキと見た目がほとんど変わりません。
純正ロジウムメッキと比べ、非常に安価で加工できます。
耐食性や定着性に優れています。
ニッケルフリーのメッキ加工も可能で、利用の幅が広い。
見た目がほとんど変わらない
純正のロジウムメッキと比べ、素人目ではほぼ見分けは不可能ではないかというほど完成度が高いです。
安価
ジュエリー貴金属の世界で安価安価というと、少し気が引けてしまうのですが、実際純正ロジウムメッキと比べて安いです。
耐食性や定着性に優れています
耐久性も定着性も、いままでのロジウムメッキとうらべてそん色ない品質を維持しています。
私も2020年から代用ロジウムメッキの貴金属を持っていますが、5年たっても見事な艶を維持しています。
ニッケルフリーメッキについて
金属アレルギーの原因になりやすいとされている金属「ニッケル」を含まないメッキです。
※アレルギーの原因はニッケルだけではないため、このメッキでも肌に合わない場合もあります。
代用ロジウムメッキの不安点
純正ロジウムメッキと異なるため新たなアレルギーの心配が懸念されます。
純正ではないため表記にばらつきがあります。
特に購入者側の視点で気になるのはこの2点です。
アレルギーについて
今までのロジウムメッキなら大丈夫だけれど、代用ロジウムメッキとなると話は変わります。
この「代用」の成分が何でできているかで、アレルギーの有無や強さが変わる人がいるからです。
そこで2番目の表記問題に移ります。
表記が決められていない
お店によっては「ロジウムメッキ」「メッキ」など、今までも表記はバラバラでしたが、これからはその表記がさらに複雑になるかと思われます。
単にロジウムメッキとしても問題はないのですが、アレルギーなど何かあったときに説明できる体制になると良いですね。
良心的なお店なら「純ロジウムメッキ」また単に「ロジウムメッキ」と記載し、もし代用であれば「代用ロジウムメッキ」や「ロジウムメッキと記載した後に商品詳細にメッキの成分を記載」しているところもあるかもしれません。
ただ、ここまで表記する義務はないため、ここまで親切に記載しているお店はほとんどないかもしれませんね。
代用ロジウムメッキはアリかナシか

ここは個人の判断になりますが、私自身は銀色シルバー系のメッキとしては十分「アリ」です。
ただし、シルバー製品にはまだ純正ロジウムメッキを利用しているケースも多いことから、価格をはじめ、今後の加工や耐久度などの長期的な面で利用には慎重なお店も多いかと思います。
まずは真鍮などのアクセサリーで代用ロジウムメッキを試用してみてはいかがでしょうか。